白い、身体だ。
胸や背中や腕や太股の隠された肌はもっと白く、感嘆の溜息を零す。
自分の身体も全裸だが、見るべきところはない。
この白い身体の全裸は本当に見てて飽きない。
そして、黒い目。
濡れた目は深い闇の色。
汗で湿った黒い髪もまた本当に黒く、その白さを際立たせる。
だからというわけではないが、薄い皮膚同士だけの口づけを繰り返し、唇を赤く染めることに夢中になる。
噛む必要もなく赤くなる唇は幼気で、純真。
それゆえに、いつか胸の飾りも赤く膨らませたいとさえ、夢想する。
白、黒、赤。
支え合う。高め合う。
どうしてこんなにもホームズは美しいのだろう。
「はふっ」
ワトソンは微笑んだ。
こちらの顔を冷静に観察しながらも、荒く息を吐く唇。
身を乗り出し、舌を伸ばす。もっと赤くなる唇。濡れて一層。
さらに美しく。
ワトソンは腰を高く上げた。
両手で支え両足で踏ん張り、ホームズの胸の飾りに自身のモノを擦りつけた。
期待していたが、赤くはならなかった。ただ、濡れて赤く見える。
それだけで充分だ。
気分よく腰を揺らしていると、体内を広げていた指が抜けていく。
「おねだりかな?」
「うん。そうだね」
黒い目はより一層黒く。そのくせ輝き、心を奪われる。
深い陶酔。
その隙に腰を掴まれた。指が食い込む。
下げようとした腰はより高く上げられた。
腹部が無理矢理折られ、醜く呻くしかない。
そうしてその呻きは、より醜い叫びになった。
襲い来る衝撃に喉が引き攣る。
次々に来る衝撃に切れ切れの悲鳴が勝手に零れる。
視界は歪み、耳障りな水音が絶え間無く。高く上がった腰は不安定に揺れ続け、労れる様子もなく。
苦しかったが、ワトソンは幸福だった。
我が儘に欲を貪るホームズは、より一層美しい。
ワトソンの肌は陽に焼け荒れて決して白くはなく髪もまた乾燥した泥のような色で、目も同じで美しさはない。
それなのにだ。
美しいホームズがワトソンのおかげでもっと美しくなる。
「もっとっも、と」
だからねだる。

もっと美しくなって

「あひぃっ」
前立腺をえぐられ情けない声が響く。
それにすらホームズは煽られるのか。
いつものことながらよくわからないが、情けない声をさらに張り上げる。
「あぁっあっぁんっ」
動きは途端激しくなる。
白い肌が上気して、一層、美しい。
体中が痺れた。ホームズが喘ぐのが聞こえた。
自分とは違う、声だ。
嬉しくて、尻の穴に力が入る。もっと聞きたい。
そうすればもっと、ワトソンが気持ちがいい。
震える手で力強い腕を掴んだ。必死で爪を立てた。
赤い筋。
付け足される。
血が滲む。
白、赤、さらに赤。
あぁそれに今日は。
指から感じる肌の気持ち良さに、ワトソンの暗い欲が顔を出す。
最近比較的正しい生活をしているホームズの肌は、完璧で。
ずっと試したかった。
一度思えばこの好機に、我慢はもうできない。
まずは、とワトソンは自身のモノの根本を指で握った。そしてわざと腹に力を入れ、尻を目茶苦茶に振った。
「ぅああ」
ずちゃずちゃと数度の水音の後に呻き声。
急な刺激に堪えられずに、びくびくっと尻の中で震えるのがわかった。
ホームズがワトソンの尻の中を熱く濡らしていく。
何度か緩慢に腰は動いて、止まる。あぁと深く荒い息。
余程忌ま忌ましかったらしい。軽い舌打ちに無言の圧迫。
瞬間、そんなホームズをワトソンは蹴り飛ばした。
酷い水音がして、抜けて自由になる。
大きく息を吸って吐いて、溢れそうになった唾を飲み込む。
揺らぐ身体を起こす。
ある程度予想はしていたが、予想以上の刺激に震えるモノを強く握った。
今ではないのだ。
背中からベッドに沈んだホームズ。よほどの驚きだったのだろう。
まだ、沈んだままだ。
きっと目的を果たすまで動かないだろう。
思うだけで、喉が鳴った。
はあ、と息を吐く。鼓動が速い。汗が滲む。
あと少しで、あと少しだけで、ほんの少しだけで。
目の前が霞むほどの快感。
震える身体を叱咤。
その腹に乗り上げ、膝立ちになる。

え、と開かれた赤い唇。汗でより黒くなった髪、潤んだ黒い眼。熱を孕んだ白い肌に赤い頬。
白い液体に塗れたモノ。

ワトソンは見下ろしながら、ようやく手を離す。
ゆっくり手の中の自分のモノをしごいた。
我慢していた欲はすぐに弾ける。
溢れた白濁はホームズの顔にふりかかった。
びしゃりびしゃりと塗れる汚い白さ。そして際立つ―――
「あぁ―」
ワトソンは短く喘いだ。
「すばらしい」
これほどとは思ってなかった。
この姿こそ、最上の美しさ。
気づけば、またモノは上を向いている。それでさらに白濁を擦り塗った。
髪を耳を目を鼻を唇を、さらに彩るように。
硬直したままのホームズがはふっと息を零す。
見えた咥内の赤さ。
もしあの赤が白濁で一杯になったなら。
夢想は止まることなく、放たれた欲は止まることなく。
「さぁもっと美しくしようか」
ワトソンは、微笑んだ。