「ホームズ」

抵抗しない足を少しだけ開かせる。

「ホームズっ」
「なんだい」

皮肉たっぷりに返しながらもなんとなく予想はついた。

いつからだろう。

「あぁわかってるよ。
君が好きなのに、君が振り向いてくれないのがいけないんだ。私は君に夢中なのに放っておくから」

「ごめん。早く気づけばよかったよ。僕を許してくれるかい?」

「あぁもちろんだとも。愛しい君だからね」



寒々しい会話。
どちらも信じていない。感情のない言葉。



しかしそれに、ワトソンは救いを見出だし理性を保てる。
この始まりの儀式のような会話を止めたらどうなるのだろう。


浮かぶのは、がたがたと身体を震わし会話を求めてだらだらと泣く、ワトソン。



あれはいつだっただろう。



苛々とする。

同じように、ホームズもズボンだけを放り投げた。尻を掴み広げ、突き刺した。
硬い。
兆し始めたホームズのモノはまだ柔らかく、上手く進めない。
硬い。

苛々する。


だらだらとした悲鳴が枕に吸いこまれていく。


ひどく、苛々する。


中途半端に突き刺したモノを抜けば、さらに血の臭い。
見えた赤にホームズは満足した。
また突き刺す。
止まることなく、奥へ。
硬い中を無理矢理突き進んでいく。やがて全て収め終わる。
たったそれだけで、苛々が薄れた。
軽く小刻みに揺らせば、同じように揺れる身体。
濡れた音の原因がどうあれ動きへの手助けなだけ。ぐちゅりとゆぅっくりと動けば、荒い息。
いつのまにか覚えたワトソンの喜ぶところを執拗に擦った。

「ぐぅっ!はぁっ…んふぁっん、ん!」



枕に阻まれ上手く息ができないなら、枕なんて忘れてしまえばいい。


「ははっ・・・はははっ・・・・」


執拗にワトソンは枕を欲しがる。
苦しげに頭が動く。手も苦しげにシーツに爪を立てている。
これもいつものことだ。
気にしていても変わらない。
知らず溜息を吐きながら、ホームズは腰を動かした。
中が柔らかくなり始めていた。美味しさを覚え始めたように動いている。
包み込むあたたかさ。

「んっんっんふ…っ!はぁー…っ!っんぐんぅー!」

片手を前に伸ばし、ワトソンのモノを握る。滲み出した体液を広げるように動かせば、さらに息が乱れた。
無意識に逃げようとする身体を身体で押さえつける。
苦しげな声がホームズに余さず届く。

「そろそろ出そうか?そうしないと君は窒息死してしまいそうだ」
「ふぁっ」
「あぁでも出せるのかな?君は締め付けるのが下手だから。
やれやれ。今日読みたかった本全て読めるぐらい、このままでいろということか。
まだ本のほうが楽しそうだ。」
「はぁっ…ふっぅ…」

ぎゅうとワトソンの尻に力が入った。
まだ保てている冷静さを笑う。
「どうもご苦労様。そんなにも好きだとは知らなかったね」
ご褒美にホームズはワトソンの喜ぶところを擦ってやった。
押し殺された悲鳴。育つ手の中のモノ。あたたかく柔らかな壁。
そろそろ、だ。
擦る手も突き刺す腰も速さを上げる。続く潰された悲鳴。育ちきったモノに爪を立て穴を強く引っ掻く。
「んーっ!んーっっっ!!」
痙攣するワトソンの耳にホームズは囁いた。


「ほら、君が飲みたかったモノだ」


どくどくと。最奥に熱を解放した。小刻みに震える中は飲み込むために震えているようで。
しっかり注いであげるために、軽く自分のモノを揺すれば歓喜にざわめくようだった。
「味はどうだい?」
ぜひゅぜひゅと喉を鳴らして息を吸い込むワトソンは、一度深く息を吸って吐き出した。
その顔を舐めてやる。涎や汗だとわかっているが、なぜか舐めたかった。

「ワトソン?」


「さぁ寝るんだ、ホームズ」


そんな顔で言われても、まったく怖くない。むしろまた、熱が溜まり出す。
それをいつも阻むのは、ワトソンの腕のあたたかさ。
急に引っ張られ、横に転がされ、ぎゅうと抱き締められる。
二人とも下半身だけ丸出しで、特に片方は酷すぎるのに。


それでも、腕は変わらずホームズを包む。



胸に広がる漣。
眠たくもないのに、寝てしまいたくなる。ワトソンの願いを叶えたくなる。


いつからだろうか。


ホームズは眼を閉じた。
いつものように、このまま寝てしまうのだとわかっている。
朝何事もなかったように、奇麗なベッドでちゃんと服を着て起きてしまうのだ。
その前に何か言いたくて、言いたくてたまらないのに。
それもいつからだろうかとホームズは考え、諦めた。
掠れた声の子守唄。
また聞いてしまいたくなる、ワトソンの子守唄。