揺さぶられ、ジョンは眼を開けた。
揺さぶった、シャーロックは顔を近づけた。

軽いキス。

「なにかあった?いまはよるだよ」
どこか覚束ない声の言う通り。

今は真夜中。
そして、ここはジョンが眠っていたジョンの寝室。

「何も」
じゃあなんで、は飲み込まれる。
またひっつけた唇を離し、シャーロックは囁いた。
「キスがいい?胸がいい?放っておいてほしい?」
は?とジョンの顔が歪む。
「どれがいい?」
「どれがいいって何が?何の?」
「    」
一瞬にしてその頬が染まる。
「そっそんなの普通!普通で頼むよ!」
「今の気分はすぐに突っ込みたい気分なんだ。
だから君が悦ぶことを一つはしたい」


まじまじとジョンはシャーロックを見た。
まじまじとシャーロックはジョンを見た。


うろうろする眼とぎらぎらする眼がぶつかる。


「あぁ説明が必要か。
気づいていたと思うけれど、君はキスが好きだ。胸は僕が触るのが楽しい。放っておくのは、君は辱められるととても悦んでいるからだ」
必死でジョンは耳を塞ぐ。
こんなこと聞きたくもない。
冷静過ぎるシャーロックは気づいてもいない。
どんなに恥ずかしいことを喋っているのか。
赤ちゃんの誕生日プレゼントがブルーフィルムだった。
と言えば通じるのか、通じないのか。
「ジョン?聞いているのか」
「あぁ聞いてるよ!もう黙ってくれ!」
「それならどれにする?」
無表情でシャーロックは尋ねた。
実は、もう余裕がなかった。そうなると、この声この顔になる。
恐がらせたくはない。
もう既に恐がらせている。
「あぁもう!!キスでいいよ!」
投げやりに叫んだジョンにキス。
顔を掴み逃れられないように、キスをしてキス。
ベッドにシャーロックは乗り上げた。
そのとき、一瞬唇が離れる。
「シャーロック?なにがあった?」
優しいジョンの声。
言えない。
答える代わりに、キス。